仕事で一番大事なこと、それは信用です。相手があなたを信用していなければ、今後の成功はほとんどないといっていいでしょう。ビジネスでは、あなたの風貌や話し方、学歴、生い立ち、性格がどうのこうのではなく、あなたという人が信頼に値する人物かどうか、相手にとって最大の関心事といえるのです。
そのためには、常日ごろから、あなたのありとあらゆる言動や態度が信用を築くものでなければなりません。信頼の根拠を追求していくと、その本質はあなたの姿勢にたどり着きます。
姿勢とは、誠実さに裏打ちされた仕事への意欲といえます。「あなたという人物は誠実で、他人の厚意に必ず報いる人に違いない」と信用が得られるならば、相手はあなたに力を貸してくれる可能性が高くなります。
そのため、何はさておき、相手の信頼を勝ち得ることに全力で努めなければならないのです。着実に周囲の信用を得ていけば、おのずとチャンスは巡ってきます。
信用を勝ち得る順序は、自分との距離感がより近い人からです。ここをはき違えると致命傷となります。社外の人であるお客さまの前に、まず社内の職場仲間です。
仕事はひとりではできません。お客さま、上司、同僚、部下、後輩などさまざまな多くの人に支えられています。同じ職場で働く仲間からの信用が得られずに、お客さまに対して質の高い仕事などできるはずがないのです。
さらにいえば、職場仲間よりも、家族です。親兄弟や配偶者などもっとも身近な人からの信頼を得られずして、一足飛びにお客さまからの信頼を得ようとしても、それは偽善行為であり、ムリがあるというものです。
その人が信用に足るべき人物かどうか、身近な人ほどよく知っています。より身近な人から大切にし、その人<br />に対して不義理をしないことです。
世の中とはよくできています。「今回だけ」とか「この人だけ」と身近な人ゆえ甘えたり、軽んじたり、不義理をしているとめぐりめぐって自分に返ってくるからです。身近な人があなたのことを保障してくれるということが、信用のバロメーターとなるのです。
信用を支えるのは、ウソのないこと、裏切らないことです。裏切らないとは、時間と約束を守ることです。それらを積み重ねることで、はじめて他人から信用を勝ち得ることができるのです。信用を築くには途方もない時間がかかりますが、 失うのはほんの一瞬です。万一、信用を失うような行為をしてしまったのなら、すぐさま信用回復に全力を注ぐべきです。
絶対やってはならないのは、その場限りの言い逃れです。「自分だけが悪いのではない」とついつい言い訳や反論をしてしまうことです。見苦しいばかりか、心証が悪くなるだけです。
たとえ、それが理不尽な誤解だったとしても、まずは相手に頭を下げ、真摯(しんし)に謝罪することが先決です。そのとき、推し量られるのがあなたの「反省の度合い」です。「悔しい、情けない、恥ずかしい、ほんとうに悪かった」など、胸を痛めている度合いがどれほど強いのか、相手はその反省の度合いを見極めようとします。
そして、なぜこのような事態が起きてしまったのかその背景や原因を正直に語り、今後二度と起きないようにするにはどうすればよいかという抜本的な対策を相手にしっかり示すべきです。
どれだけ口で謝罪を述べ反省色を示しても、一度や二度だけでなく同じ失態を繰り返したり、次の行動がともなっていなければ信用を完全に失ってしまいます。信頼を踏みにじった行為を深く反省し、自らウミを出し切る覚悟がなければ、失った信頼の回復は望めないと知るべきです。