どうやらコンサルタントって、分析屋のイメージが強いようです。しかし、真のコンサルティングとは分析することではなく、優れた解決策を示すことです。医師は病気を診断し治療します。コンサルタントも同じことがいえます。力を注ぐべきは「診断」ではなく、"治療"の方です。
たとえば、クライアント(顧客企業)の過去の決算書を分析した結果、「利益額が10分の1にまで下がった」ことが明らかになったとします。また、さらに分析をすると「主力商品が売れない」「生産設備の稼働率が落ちている」「社員のモチベーションが下がっている」などが判明しました。しかし、「で、どうすりゃいいんだ?」がわからなければ、コンサルタントとしては失格です。
求められるのは、「で、どうすりゃいいんだ?」という問いに対して、きちんとストーリーを描く力。たとえ、どう対処すればよいか誰もわからない難しい案件だったとしても、経営者の「で、どうすればいいんだ?」に明快に答えるのがコンサルタントなのです。
さて、突然の大雨に見舞われたらどうするか。濡れないためには、傘をさすか、どこかで雨宿りするかのいずれかです。実はとても単純な"解"ですが、だめなコンサルタントは空を見上げて、測定器を取り出し、雨の成分の分析に夢中になるのです。アンモニウムイオンがやや多いなとか、カルシウムイオンは少ないぞとか…目をきらきら輝かせます。
しかし、どれほど緻密に分析したところで。「濡れない」という解決には至らず、ずぶ濡れになって風邪を引くのがオチです。なぜうまくいかないかという分析資料だけをほしいと願う経営者はいないのです。大事なのは原因を分析することではなく、問題を解決すること。医者の世界と同様、分析より患者さんが治ることの方が重要です。