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トップインタビュー【一問一答】企業再生


トップインタビュー【一問一答】企業再生

-----業績が悪化した企業に対する処方箋は?


選択肢は、多くありません。売る(売却)か、清算(廃業)か。それとも再建(企業再生)か。そのいずれかです。会社の命運を左右する選択というのは、ある意味トップダウンで推し進める必要があります。なかでも、企業再生に関しては 3年なら3年と期間を区切って、その間に一気呵成(かせい)にやり遂げる強い覚悟がないとなかなかうまくゆかないですね。


-----妥協の許さぬ再建手腕、ニューエアが手掛けるコンサルティングの特徴ですね。


人員削減や企業買収といった苛酷な手段に訴えるよりも、地道で着実な経営手法をとります。社員との対話など、とりわけコミュニケーションには力をいれますが、十分な議論をした上で再建計画を立案します。派手な奇策はありません。私たちは数字よりむしろ、まず先に人を見ますね。決算書ではうかがいしれないものもつかむようにしています。また、パッチワーク(つぎはぎ)で一時的・部分的な修復で済ませようとするのではなく、世の中の大きな時代の流れを見ながら、全体を見渡して、直面している問題の核心に切り込もうとするのが大きな特徴といえます。


-----たとえば、人員削減なしの企業再生などは、果たして可能でしょうか?


状況や与えられた時間の長さにもよります。ただ、短期的な成果を追い求め過ぎると、どうしても「ハード面の改革」に頼らざるを得ません。


-----「ハード面の改革」?


人員削減を柱とした合理化、不採算部門を断ち切るなどの荒治療のことです。でも、経営効率化策だけやっても実はうまくゆかない。長期的な視点にたてば、システムの変更やルールの見直しという「ハード面の改革」に着手するだけでは、業績悪化を根本的に立て直すことなどできないんです。どう改めても、しょせん制度は"ハコモノ"にすぎませんから…。生かすも殺すも、それを動かす人にかかっています。いくら最高の制度をつくったとしても、人の心が伴わなければ「仏つくって魂入れず」で終わります。


-----意識を変えねば、会社は変わらない。


ハードではなく、「ハート面の改革」こそ大事になります。さまざまな角度から業務や組織を見直しますが、まずは"ヒト"の再生から。企業が再生する基本は人にあります。その核心にメスを入れずに、ロゴや社名を変えたり、上滑りの制度だけいじってうまくいくと考えていたら、とんでもない。順序を間違えると「トップが笛吹けど踊らず」になりかねないのです。魂を入れてから、システムやルールという「仏」をつくることです。


まずは意識改革。ココが一番腐心するところです。合理化を推進することは難しいことではありません。設備投資すればそれなりの結果はでます。でも幹部から一般社員まで、社員の心を変えるのは並大抵ではなく、手間も時間もかかります。でも、変えるべきは、制度より意識なのです。


-----ところで、会社が傾いたり、衰退企業に共通するのは?


組織の「風通しの悪さ」「責任のなすりあい」「危機感の欠如」の3点ですね。私はこれを「カセキ」体質と呼んでいます。空気によどみがあるかどうか、社員の目に輝きがあるかどうか、職場に入ればすぐにわかります(笑)。とくにこの三要件は組織をむしばみ、企業を衰退させる"メガトン"級の要因となるので要注意でしょう。しかも、衰退というのは突然襲ってくるのでなく、ゆっくり組織力をそいでいくからなおのこと厄介です。


-----では「カセキ」体質の「カ」、風通しの悪さについて詳しく教えてください。


「何か変だな?」「おかしいぞ?」と現場が感じていても、上にものが言いにくい雰囲気があったり、重要にもかかわらず悪い情報が課長から部長へ、部長から取締役へと上に行けば行くほど握りつぶされてしまうようだと、その企業は間違いなく衰退の道をたどります。社員が強い疲労感や徒労感を覚えるのは、仕事量や難易度よりも、上にいってもまったく反応がなかったり、ちゃんと聞いてもらえなかったりすることの方なんです。


また、たとえ聞いてもらえたとしても「前例がない」とか「制度上できない」など、何ごともしゃくし定規に決めてしまうような官僚的体質では、社員は暗澹(あんたん)とした気持ちで、無力感にさいなまれます。歴史や伝統を重んじる大企業は優秀な人材を集めることを得意としますが、その人たちを活かすどころか腐らせてしまうことが多い。適材適所が実践されているかといえば、多くは疑問を感じます。


-----なぜ、腐らせてしまうのでしょうか?


そもそも人材登用の考え方に問題があります。若い才能を発揮させる場所を与えないことが多いからです。その多くは、若いというだけで、社内の重要ポスト(高い地位)に決して就けない。権限のない若い人の才能を軽視しすぎます。くわえて、有望な若手を抜てきする仕組みもないので、実力主義と標榜しながら、年功序列をひきずっているのが実情です。年齢で能力を測り、年齢とポストを切り離せないから、適材適所が進まない。枠の中に閉じこめるような環境では、早くから可能性が閉じこめられ、才能の芽も摘まれてしまいます。


-----現実には「若い知性」を活かせる会社とそうでない会社が存在しているということですね。


優秀と判断すれば、若手でもポストを用意することです。年齢問わず、抜きんでた才能を大事にすれば組織に大きく貢献してくれます。やる気や能力のある人がチャンスをつかみ活躍できる環境…、すなわち従業員が自発的に提案し、知恵と工夫を出し合う環境をつくることです。そうしないと企業に活力も生まれないし成長もありません。


くわえて、優れたアイデアを持ち、そのアイデアをリスクを恐れず実行しようとする人に対しては、厚遇する人事制度も検討すべきでしょう。歴史を見てもわかるように、どんな業界でも古き伝統に風穴を開けるのは、旧世代でなく、常に斬新な感性を有する新しい世代の人たちです。とりわけ新しい分野では新しい才能を必要としています。年をとったベテランは、若い人より必ず優れているという考えを捨てるべきです。


-----次に「カセキ」体質の「セ」、「責任のなすりあい」についてですが‥。


無責任が横行する組織によく見られるのが、営業部と開発部の責任のなすりあいです。「商品性能が悪い」と営業部はいい、「売る力が弱い」と開発部はやり返します。顧客の方ではなく、隣の方に意識が向いていて、社内争いに忙殺されている会社です。部門間の内紛では、人も商品も潜在能力を引き出せず、商売がうまくいくはずがありませんね。


-----解決策は?


大きく分けると2つあります。ひとつは、組織の壁と部門の壁を壊すことです。部門間の縄張り争いを撤廃させるには、部門間でのマネジャーの積極的な人事異動も不可欠です。もうひとつは、意思疎通を格段に良くして、徹底した社内コミュニケーションを図ることです。組織において、何らかの「誤解」が生じるのは、部門間との腹を割った日ごろのコミュニケーションの欠如が影響している場合がほとんどです。互いが尊重し、信頼しあうよき関係を構築しないと、組織に活力は生まれません。


責任を押しつけ合う両部門の間に割って入り、夫婦同伴のクリスマス・パーティーや、お互いの家族を全員招待して一緒に野外でバーベキューパーティーを開催することもあります。子どもと一緒にゲームに参加するなどして家族ぐるみでつきあえば、相互理解も一段と深まります。子どもたちが無邪気に遊び喜び、幸せそうな顔を見て、眉間にしわが寄る親などいないと思います。こういう催しを一度でもすれば、どれほど日頃のコミュニケーションが大切かが肌で感じることができるはずです。解決には知恵を使うことですね。昼食を一緒にとるなど対話促進に向けて働きかけ、あらゆる機会を通じて話を聞くように心掛けます。


-----最後の「カセキ」体質の「キ」、「危機感の欠如」についてですが…。


多くの社員がサラリーマン気質になっている会社は必ずおかしくなります。危機感が欠如しやすい会社には3つの共通点があります。競争原理の働かない会社、これといった特徴のない会社、惰性でやっている会社です。こんな組織は危うく、やがて滅びる運命です。


社内に潜む危機感が不足しているだけでなく、「何といってもわが社は名門」「自社だけは絶対つぶれない」など幹部が信じきっている場合が少なくありません。経営陣の危機感の薄さは致命傷となります。このように、「カセキ」体質では主体的に行動しようとする社員の意識はどうしても乏しくなります。いくら社内の制度を改め仕組みを変えても、大企業病、ぬるま湯につかった社員の意識のままでは再生は難しいのです。


-----いままでの慣習に風穴を開けるには?


誰しも、これまで長い間やってきた仕事のやり方が何の疑いもなく「正しい」と信じ、体中に染みついています。でも、今までのやり方が最善とは限りません。やり方を変えるには、何より従来の行動を変える必要があります。それには凝り固まった考えをバッサリ捨て去ることです。その点、危機感は改革への追い風になる場合が多い。戦略にしても、組織にしても、かなり大幅な軌道修正と新機軸を打ち出さざるを得なくなります。従来のやり方を打破し、新しい方向を見いだすのは、かえって新しい感覚の持ち主の方がうまくいくことが多いものです。


-----赤字体質の脱却や経営の立て直しを目指して外部の人材を起用する企業が急増しているのは、こうした理由でしょうか?


最近では日本でも、社外からプロ経営者をスカウトするのも珍しくなくなりました。優れた企業がこぞって外の血を入れようとするのは、業界・既成の考え方に慣れきった社内の人間が、新たな観点に気付かされる利点が大きいと見ているからです。先人が築いたものを変えるとなると、ある意味過去や前任者の否定になってしまいます。相当な軋轢(あつれき)も生じます。


-----そんなとき、社外ブレーンの活用が効果を発揮するわけですね。


異なる視点からの助言が役に立つという意味では、しがらみのない外部の力が必要なときもあるということです。実は経営者にとって、意外と難しいのが自社を客観的に眺めることなんです。業界知識に詳しいからといって、また実務経験が長いからといって、自社を客観的に判断できるとは限らない。むしろ、「知ってるつもり」が大きな足かせとなることもあります。消費者の視点に立てば当然見えるはずのものが、豊富な知識経験によってそれらを見えにくくさせるのです。


-----社内の人間ではやはり限界があると…。


そうではありません。ただ、再生のためのダイナミックな改革は、社内事情を知り尽くしていると、かえってやりにくくなることもあるということです。たとえばメーカーの場合、営業や開発などは比較的手をつけやすいところですが、購買となると別格で"そこは聖域" ということがしばしばあります。長期的な人間関係、利害関係が複雑に絡みあっているという事実は、調達先をくまなく回ってみればわかります。


-----しがらみやなれあいですね。


そのため、過去を断ち切るのは、どうしても内部の人間には容易ではなく、なかなか抜本的問題に鋭くメスを入れることができないのです。結果的に、問題を糊塗(こと)し先送りさせる可能性が高くなります。でも、問題の先送りは何の解決にもならない。再生トップインタビュー【一問一答】中村一八を本気で目指すには、勇気をもってしがらみを断ち切り、役割の終えた仕組みはすべて廃止する覚悟でのぞまなければならない。いったん壊さなければ、新しいものは生まれないのです。思いきってメスを入れないと見込み違いが続き、改革が長引き、かえってビフォアーよりアフターの方がひどくなって終わります。経営陣にプロがいないのなら、外部から再生のプロを迎えるべきだということです。


-----「カセキ」体質を払拭する上で最大のネックとなるのは…。


突き詰めると、最大の難関はカルチャーの改革でしょうね。優れた企業を支えるのは、思考様式や価値観、企業風土などの"社風"です。優れた社風として共通しているのは「しぶとさ」でしょうか。どこまで徹底できるか。成果に差がでるのは、徹底の度合い「しぶとさ」の度合いです。その上に商品とか技術などの上部構造がのっかっています。企業再生に携われば携わるほど、社風の大切さを痛感しています。沈んだ企業を立ち直らせる経営のプロが、縦割りの風土、官僚主義的なカルチャーにメスを入れるのは、下部構造の方がきわめて重要な意味を持っていることを知っているからなんですね。


業績が低迷、混迷する組織では、総じて社員が自信喪失している場合が多く、下を向いて仕事をしています。でも、何もかもすべてがダメと悲観するのではなく、「独自の優れた部分は何か」と自社のポテンシャルをしっかりと見極め、いいところを伸ばし、勝機を見いだすことが大切です。企業の特長を無視した方法では、明るい展望を切り開くのは難しいからです。社内の沈滞したムードを一掃するには、たとえ暗い状況下であっても明るさを見出さなければなりません。あらゆる機会を有効に生かす前向きな思考を持ち、あきらめる前に創造的な解決策を考えることです。


-----そのために必要なことは?


明確な目標を掲げること。いまどこにいて、何を目指すのか。そして、現在前に立ちはだかるさまざまな障壁をどうやって乗り越えようとしているのか。再生への道筋を明確に示し、社員に夢を直接語りかけることが大事です。よりよい会社をつくる上で大事なことは、会社が向かうべき方向をはっきりさせ、社員と同じ気持ちを共有できるようにすることです。5年先、10年先を見据えて、将来性のある再生の構図を描けるかどうか。再生後のグランドデザインを社員にわかりやすく示す必要があります。社員の心をつかみ企業に活力を取り戻すには、誇りと夢のもてる会社づくりからスタートです。


-----針路を定め直す前に、大事なことは何でしょうか?


社内の人心が荒廃していないか、組織全体の士気を再点検する必要があります。会社というのは社員ひとり一人の個の力でなりたっています。社員のやる気の高さこそが企業成長の源泉であり、"会社を伸ばす"につながることだけは確かです。もし、やる気の上昇と自分で考える力の醸成が組織の中にしっかり組み込まれているのなら、たとえ業界の情勢や時代が変わろうとも、企業は十分な成長を続けられます。再生を成功させるカギは、社員のやる気と考える力を会社の土壌にしっかりと根づかせられるかどうかにかかっています。土壌をよくするだけで、社員は考え方も行動もガラリと変わります。組織に命を吹き込むことを忘れないことですね。


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