一流の思想を後世に伝え続けたい
一流の経営哲学というのは、やはり時代を超えて通用します。どんなに時代が移り変わろうとも、それは世代から世代へと脈々と受け継がれていくものであり不変です。土光敏夫氏や松下幸之助氏、井深大氏、本田宗一郎氏を師としてあこがれた人も少なくないはず。私たちの使命は、これら一流の経営哲学を次代を担う志高きリーダーたちにフィードバックしていくことです。なぜ私たちニューエアが、これほど「使命感」に燃えるのか。それは、日本経済の未来に深い憂慮（ゆうりょ）を感じているからです。
モノを創るにしろ、商品を販売するにしろ、その根底には"思想"が必要です。売れさえすればいい、儲かりさえすればいい、いま良ければそれでいい、の考え方ではいつしか手痛い「しっぺがえし」を受けます。正しい思想をトップが身につけなければ、どんなに技術や製品が優れていても、やがて凋落の道をたどるであろうことは歴史をみても明らかです。歴史が証明しています。
最近では、情報技術（IT）バブルが崩壊し、やはりインターネット企業はダメだという風潮になっていますが、これは大いなる錯覚です。ITはえんぴつと同様、道具にすぎません。経営不振や破綻が起きるのは、ITの問題ではなく、経営能力の問題といえます。うれしいことに、日本にも新しいタイプの優れたリーダーが育ちつつありますが、ここでもう一度経営の原点に戻ることも重要です。経営とは何か。会社とは何か。社会とは何か。先達から一流の思想を学び、それを後世にしっかり伝え続けること。これが私たちに課せられた責務です。
【プロフィール】
株式会社ニューエア 代表取締役社長
中村 一八（なかむら・いっぱち）
1968年大阪生まれ。関西学院大学法学部卒業後、1995年ニューエア設立。同社代表取締役に就任、現在に至る。中小・中堅企業から東証一部上場企業まで、企業再生、経営戦略、組織の活性化に関わる経営コンサルティングに従事。仮説の正確さ、解決案の柔軟さ、発想の豊かさ、着眼点の鋭さ、観察の奥深さ、論旨の明快さ、アイデアの卓越などなど、経営コンサルタントとしての実力は高く評価され、業界問わず全国の経営者から絶大な支持を受けている。分野問わず幅広い人脈を持ち、大企業のそうそうたるトップにも中村一八ファンは少なくない。